スタートアップこそUSPマーケティング!差別化ポイントの見つけ方と成功例を解説

スタートアップこそUSPマーケティング!差別化ポイントの見つけ方と成功例を解説

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USP(Unique Selling Proposition)とは、自社の商品やサービスが持つ独自の強みを意味するマーケティング用語です。

この記事では、USPの意味や見つけ方、成功例をわかりやすく紹介します。スタートアップや中小企業が勝ち残っていくには、USPを活用した戦略が欠かせません。

自社にしかないユニークなUSPを見つけて、認知拡大や強固なブランディングの確率を目指しましょう。

 
シニヤン

今度配信するWeb広告に、うちの会社ならではのUSPを盛り込もうと思っているんだ。ビギニャー君、何かいいUSPのアイデアはないかな?


 
ビギニャー

へ?USP……って何ですか?


 
シニヤン

USPっていうのはね……。

USPとは

USPの図解

USPとは、簡単にいうと「自社ならではの強み」を意味する言葉です。USPは、実はスタートアップや中小企業が市場で戦うために欠かせない戦略のひとつです。

ここでは、USPの基本的な知識を身につけていきましょう。

  • USPの意味をわかりやすくいうと?
  • USPの要件
  • USPがマーケティングで重要な理由
  • USPとコンセプトの違い

上記4項目について解説します。

USPの意味をわかりやすくいうと?

USP(Unique Selling Proposition)とは、自社商品・サービスならではの強みやそれを活用した戦略のことです。単に商品やサービスが秀でている点をアピールするだけではなく、「自社が顧客に提供できる独自の利益(ベネフィット)を含んでいる点」が特徴です。

1960年代にアメリカのコピーライターであるロッサー・リーブス氏によって提唱された考え方で、今でもマーケティングを実施するうえで重要視されています。

USPを明確に提示できれば、顧客は多くの商品のなかから自分に合った商品を選びやすくなります。特に、これから競争力を高めていきたいスタートアップや中小企業、D2C企業では大きな効果を発揮してくれる戦略です。

USPの要件

USPの提唱者ロッサー・リーブス氏は、USPの基準として3つの基準を定めました。

成果につながるUSPを作成するためは、次の要件を満たす必要があります。

顧客にとっての価値であること

USPは、ただ商品やサービスの強みだけではなく、顧客に提供できる価値を提案できるものでなければいけません。つまり、「この商品・サービスを利用すれば、このような利益・未来が手に入る」ことを伝える必要があるのです。

商品の強みをアピールするだけでは、単に商品の機能を紹介しているだけに過ぎません。その一歩先の価値まで提案する点が、USPの特徴です。

独自性が高いこと

独自性の高さも、USPでは重要になります。

競合にも当てはまるUSPでは、他社との差別化にはつながりません。今までにない新しい提案や自社にしかできない唯一無二の提案こそが、成果につながるUSPであるといえます。

強力な訴求であること

USPは、顧客の心を動かす強力な訴求であることが求められます。既存顧客や顕在顧客だけではなく、潜在顧客までもを巻き込んでいく力が必要です。

記憶に残る強烈なUSPを見つけられれば、大企業にも負けない強力な求心力を生み出せるでしょう。

USPがマーケティングで重要な理由

USPは、マーケティング戦略において重要な役割を持ちます。

その理由は、次の3つです。

認知拡大に効果的

独自性の高いUSPは人々の記憶に残り、心を動かし、行動を促してくれます。USPと接点を持った顧客はもちろんのこと、それ以外の消費者にも影響を与え、認知拡大に役立ってくれるでしょう。

おもしろいUSPはついつい口に出して言いたくなってしまうので、知人との会話のなかで話題に上るかもしれません。また、USPに惹かれて商品を購入した顧客のなかには、買ってよかったものを人に知ってほしいと考え、積極的に情報を拡散してくれる人もいるでしょう。

USPは、さまざまなシーンで顧客の行動を促し、認知拡大に一役買ってくれるのです。

商品が売れる仕組みを作れる

独自性の高い強い訴求ができれば、商品の魅力をしっかりと消費者に伝えられて、商品を買う動機を与えられます。

USPで際立った存在になれれば、広告や積極的な営業活動をせずとも、必要なときに思い出してもらえたり話題に出してもらいやすくなったりするかもしれません。その結果、少ないマーケティング・営業活動だけで商品が売れる仕組みを構築できる可能性があるのです。

ブランディングに役立つ

USPは、企業のブランディング確立に効果的です。

例えば、ダイソンは「吸引力の変わらないただひとつの掃除機」というUSPでブランディングに成功しました。「吸引力の強い掃除機といえばダイソン」と認識する消費者が増え、実際に多くの人々に愛用されています。

このように、USPで「〇〇といえばA社」という強い印象が残せれば、高いブランディング効果が得られます。唯一無二のブランディングに成功すれば、競合他社を長期的に引き離せるでしょう。

USPとコンセプトの違い

USPと似た言葉として、「コンセプト」があります。どちらも商品やサービスの特徴を伝えるためのものですが、「誰目線なのか」が大きく異なります。

コンセプトは、ブランドや商品の軸となる考え方やメッセージのことです。企業が伝えたいことを表すもので、企業目線で作られます。販売戦略の手段としてではなく、企業の基本的な指針として扱われることがほとんどです。

一方でUSPは、ブランドや商材を通して顧客に提供できる自社独自のベネフィットです。顧客目線で作られ、マーケティングや販売戦略に直接的な効果をもたらします。

 
シニヤン

顧客の興味を引いて商品を買ってもらうために作られる、自社の強みを伝える文言のことだね。


 
ビギニャー

なるほど〜!たしかに、独自のブランディングに成功している企業って、おもしろいUSPを持っている気がします。


 
シニヤン

でしょう?有名なところでいうと、こんな企業がUSPでマーケティングに成功しているんだよ。

USPのマーケティング成功事例

USPの活用でマーケティングに成功した事例として、以下のような企業が挙げられます。

  • Apple
  • 稲葉製作所
  • ダイソン
  • ドミノピザ
  • ニトリ

各企業のUSPを詳しくみていきましょう。

Apple

Apple社は2001年に初代iPodを発売する際、「ポケットに1,000曲のミュージックライブラリを」というスローガンを掲げました。

商品とともにこのスローガンを提示することで、「おしゃれでコンパクトなのに1,000曲も入る」という強力なメッセージを伝えることに成功。スタイリッシュに音楽を楽しめるというベネフィットが消費者の心を掴み、MP3プレイヤーが複数流通する市場で爆発的な売上を生み出しました。

「スローガン=USP」というわけではありませんが、Appleの場合は、独自性の高いスローガンがUSPとしても効果を発揮しています。

稲葉製作所

稲葉製作所が製造・販売する「イナバ物置」は、「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」というキャッチフレーズを採用。単に丈夫さをアピールするだけではなく、具体的な数字を盛り込むことで耐性の高さを強く印象付けています。

さらに稲葉製作所は、物置に100人もの人が乗っている映像をテレビCMで積極的に放映。キャッチコピーと映像を同時に用いることにより、訴求力の向上に成功しています。

ドミノピザ

ドミノピザは、「ホットでフレッシュなピザを30分以内にお届けします。もし、30分以上かかったら、ピザの料金はいただきません」をキャッチコピーに掲げています。このキャッチコピーが宅配ピザの配達時間に不満を持つ顧客の心をキャッチし、業界で不動の地位を築き上げました。

当時、注文してからすぐにピザを届ける宅配ピザ業者はすでに存在していましたが、顧客に対して明確な約束をしたのはドミノピザが初めてでした。どこよりも早くUSPに配達時間の優位性を盛り込むことで、独自性の高さを印象付けることに成功したのです。

ニトリ

インテリア小売業を展開するニトリは、「お、ねだん以上。」というキャッチコピーを採用。「質の高い家具を低価格で提供している」ことを効果的に伝えています。

さらに、ニトリはテレビCMや店舗、Webサイトなどの複数チャネルの随所でこのキャッチコピーをアピールしています。ついつい口ずさんでしまうほどの強い印象を残し、不動のブランディングに成功しました。

 
ビギニャー

わ〜、聞いたことがあるフレーズばかりです!商品やサービスの強みを伝えつつ、消費者が享受できるベネフィットをイメージできるものばかりなので、これは購買意欲が刺激されちゃいますね!


 
ビギニャー

でも、これほどレベルの高いUSPを作るのって、センスがないと無理ですよね。僕にはうちの企業のUSPは作れないと思います……。


 
シニヤン

そんなことないよ。正しい手順をふめば、誰でも魅力的なUSPは作れるんだよ。

USPを作る手順

USPの作成は難しいことであると思われがちですが、正しいプロセスで情報を整理すれば、誰でも魅力的なUSPを作成できます。

USPを作るときは、以下の手順を意識してみましょう。

  • 自社商材の特徴を明確にする
  • 競合他社を分析する
  • ターゲットを特定・分析する
  • 独自性を整理する
  • USPとしての表現を考える
  • 活用・評価する

各プロセスの詳細を紹介します。

自社商材の特徴を明確にする

まずは、自社商材の特徴を明確にしましょう。最初に独自性になり得る要素をできるだけ多くリストアップしておくと、他社との比較や情報の整理を行いやすくなります。

  • 価格
  • 機能
  • デザイン
  • 技術的な優位性
  • 品質
  • 保証
  • サポート
  • コンセプト・世界観

上記のような自社商材の特徴をキーワードとして挙げて、それを「顧客に価値を提供できる強み」と「単なるサービス紹介」に分けてみましょう。このうち、「顧客に価値を提供できる強み」の部分がUSPのヒントになります。

競合他社を分析する

次に、競合分析を行います。市場に出回っている競合他社の商品やサービスを詳しく調査し、自社商材と細かく比較しましょう。

Webサイトだけではなく、広告や販売資料、口コミサイトやSNSのレビューも参考になります。そのうえで、競合の独自性や強みを可視化しておきましょう。

ターゲットを特定・分析する

自社が訴求していくべき強みを見極めるために、ターゲットの特定と分析も進めておきましょう。

ターゲットについて分析するときは、既存顧客のデータが役立ちます。自社商材を愛用してくれている顧客の属性やお客様の声、利用商品などを分析することで、狙うべきターゲットやニーズを把握できます。

このとき、好意的な意見だけではなくマイナスの意見もチェックしておくとよいでしょう。また、市場リサーチを通してトレンドを把握しておくことも大切です。

独自性を整理する

ここまで整理した情報をもとに、自社ならではの独自性を導き出します。競合や市場がカバーできていない空白の領域が、自社が打ち出していくべき独自性です。

ここで重要になるのが、ユーザーニーズやトレンドを加味して訴求ポイントを絞り込むことです。顧客や市場に求められていない強みをアピールしても、購買にはつながりません。

消費者が抱えている課題や願望に訴えかけ、課題を解決できる独自性を優先的に打ち出すことがポイントです。

USPとしての表現を考える

自社の独自性をUSPに落とし込みます。独自性や強みをそのまま伝えるのではなく、表現に一工夫加えることが肝心です。

例えば、リーズナブルかつ短時間でヘアカットするサービスを売りにしているQBハウスは、「10分間の身だしなみ」というUSPを採用しています。単に「時短でカット可能です」と伝えられるより、「10分間」という数字と「身だしなみ」という言葉を用いて伝えられるほうが、魅力的なサービスに感じられますよね。

USPを作るときは、訴求内容だけではなく表現方法も一工夫してみましょう。

活用・評価する

作成したUSPをマーケティングや営業活動で活用し、認知拡大や売上向上を目指します。例えば、Web広告のクリエイティブやLPのファーストビューに取り入れたり、会社パンフレットに掲載したりする活用法が挙げられます。

USPを活用したあとは顧客の反応や効果を測定して、どれほど成果が出ているのかを評価しましょう。

USP施策はすぐに成果が出るものではありませんが、長期的に効果が出ない場合は、修正や改善を行っても問題ありません。活用方法やUSPの内容を見直し、さらに訴求力の強いものへブラッシュアップしていくことが大切です。

 
ビギニャー

なるほど~。USPって勘とかセンスじゃなくて、しっかりとデータを分析したうえで作られるんですね!


 
シニヤン

そうなんだよ。とはいえ、自社の強みや独自性を見つけるときやUSPとしての表現に落とし込むときは、少し工夫が必要になるんだけどね。


 
ビギニャー

魅力的なUSPを見つけるときや表現を考えるときって、どんなことを意識すればいいんでしょうか?

マーケティング効果が高いUSPの見つけ方

顧客の心を動かす魅力的なUSPが思いつかないときは、次のような視点でアイデアを探してみましょう。

  • 実績ではなく専門性・独自性をアピールする
  • 商品を選ぶ理由を提示する
  • ターゲットのニーズを反映する
  • 競合他社のUSPを確認する
  • 複数の要素を組み合わせる
  • ニッチな層に刺さる訴求を考えてみる
  • スピーディーに発表する

どのようなことなのか、詳しく説明します。

実績ではなく専門性・独自性をアピールする

USPでもっとも重要なのが、自社の専門性・独自性をアピールすることです。いくら魅力的な強みがあっても、すでに競合が同じことをアピールしている場合は、訴求ポイントをずらしたり表現方法を変えたりする必要があります。

専門性や独自性を見つけるのは難しいことだと思われるかもしれませんが、顧客ニーズや市場を分析すると、意外なことが独自性につながることがわかります。例えばセルフエステは、従来のエステに不可欠だった充実したサービスや丁寧な接客を敢えて撤廃することにより独自性を確立し、市場規模を拡大しました。

USPはユニークなものである必要はありますが、必ずしも高レベルな技術や突出した実績を必要とするわけではない点を押さえておきましょう。

商品を選ぶ理由を提示する

USPに明確なベネフィットを盛り込んで商品を選ぶ理由を明確に提示することも、非常に有効です。

「コンパクトでおしゃれなのに1,000曲も聞ける」「30分後にはピザが食べられる」というようにベネフィットが明確に提示されていると、購入後の未来が描きやすくなります。顧客にとって価値の高い商品であることを印象付けられれば、商品を選ぶ理由を感じてもらいやすくなるのです。

ターゲットのニーズを反映する

USPは、ターゲットがどのようなニーズを持っているのかを考えると作りやすくなります。

配達ピザ業者なら「スピードの早さ」「価格の安さ」、掃除機なら「吸引力の強さ」「お手入れのしやすさ」など、商材を利用するユーザーのニーズはいくつか考えられます。しかし共通していえるのは、決して「多機能な製品」を求めているわけではない点です。

全てのニーズを反映しようとすると、逆に訴求力が落ちてしまいます。ターゲットが抱えているニーズと自社の強みを照らし合わせ、自社商材が満たせるニーズを狙って訴求していくとよいかもしれません。

競合他社のUSPを確認する

他社のUSPを確認してみるのも、自社のUSPを作るうえでは有効です。他社がカバーできていない空白の領域を発見できたり、自社の独自性を再確認できたりします。

なお、USPを作るときは他社に勝とうとする必要はありません。ユニークでありつつ顧客のニーズを満たせるUSPであれば、他社に劣っている部分があっても顧客に選んでもらうことが可能です。

複数の要素を組み合わせる

USPで訴求する内容は、1つ出なくても構いません。1つの要素で独自性を出すことが難しい場合は、複数の要素を組み合わせてみてもよいでしょう。

例えば、ニトリは「品質×低価格」をかけ合わせたUSPで成功を収めました。他にも、「猫×カフェ」をかけ合わせた猫カフェや「Uber(配車サービス)×食」をかけ合わせたUberEatsなど、複数の要素をかけ合わせることで多くの価値が生まれています。

ジャンルや常識にとらわれずにさまざまな考え方を融合させると、革新的な提案が可能になります。

ニッチな層に刺さる訴求を考えてみる

あえて一部のニッチな層に刺さるUSPにすると、独自のブランディングを成功させやすくなる可能性があります。

例えば、士業専門のWebマーケティング会社であることをUSPでアピールしたとしましょう。この場合、どのような業界のWebマーケティングも支援している企業と比べると、ターゲットになる顧客数は減ります。しかし、「あそこは士業専門だからノウハウが多そう」「業界に詳しそう」と、一部の顧客からは強い支持が得られるかもしれません。

場合によっては、一部のターゲットを確実に獲得したほうが利益を最大化できることもあります。特に秀でた分野がある場合は、思い切って特化型のUSPにしてみてもよいでしょう。

スピーディーに発表する

USPは、発表するタイミングが成果を左右します。これまでにない新しい商材や価値を提案するときは、なるべく早い段階でUSPを発表しましょう。

たとえ自社が最初に始めたビジネスであっても、他社が先に印象的なUSPを発表すれば、そちらの企業のほうが目立ってしまいます。反対に既存のビジネスであっても、最初に訴求力の高いUSPを打ち出せれば、リーダー的存在になれる可能性を秘めています。

タイミングを外すことがないよう、USPはスピーディーに作成・発表しましょう。

 
ビギニャー

なるほどぉ!こうやっていろんな角度で考えるためのヒントがもらえると、僕でもUSPを作れそうです!


 
シニヤン

でしょでしょ?USPを作るときは、とにかく市場や顧客、自社を分析して情報を集めることが大切だから、フレームワークも活用するといいよ。

USPを作るときに役立つフレームワーク

USPを作るときは、とにかく素材となる情報の収集・整理が重要になります。

このとき役立ってくれるのが、以下のフレームワークです。

  • 4P分析
  • 4C分析
  • Points of X
  • SWOT分析

各フレームワークの詳細をみていきましょう。

4P分析

4P分析は、自社商材への理解を深めるためのフレームワークです。4つの側面から自社商材の強みや特徴を分析できるため、差別化ポイントの洗い出しに役立ってくれます。

  • 商品(Product):商品の特性はどのようなものか
  • 価格(Price):価格は適切か
  • 場所・流通(Place): 販路や流通チャネルは適切か
  • 販促(Promotion):広告・宣伝はどうするのか

自社だけではなく、競合他社の4P分析もあわせて行うとより効果的です。独自性を発見したいときや消費者ニーズを把握したいときに便利です。

4C分析

4C分析は、商品の価値や利用のしやすさを分析するフレームワークです。顧客目線で分析するので、よりUSPに直結する情報を得られるでしょう。

  • 顧客価値(Customer Value):機能性やブランド価値など
  • 顧客の経費・負担(Customer Cost):商品の購入に費やす費用や時間など
  • 利便性(Convenience):購入場所や支払いなど、商品利用の利便性
  • コミュニケーション(Communication):広告やSNSなど、顧客との接点

企業目線の4P分析と顧客目線の4C分析は、セットで活用することがおすすめです。

Points of X

Points of Xとは、ポジショニング分析のときに役立つフレームワークです。次の3つの観点で競合に対するポジショニングを考えることで、自社が選ばれる理由・価値を明確化する効果があります。

  • Point of Difference (POD):他社との相違点、選ばれる理由
  • Point of Parity (POP):他社との類似点、必要最低の要素
  • Point of Failure (POF):他社に劣っている点、選ばれない理由

PODで差別化ポイントを明確化しつつ、なくてはならない要素と選ばれない理由についても分析する点が特徴的です。Points of Xを活用すれば、市場やニーズとのズレを防ぎながらUSPを見つけられます。

SWOT分析

SWOT分析は、自社の内部・外部環境を整理し、挑戦すべき市場や課題、強みなどを分析するフレームワークです。USPを作るときはもちろんのこと、訴求内容や効果をレビューするときも活用できます。

  • 内部環境:Strength(強み)、Weakness(弱み)
  • 外部環境:Opportunity(機会)、Threat(脅威)

あわせて「強み×機会」「弱み×機会」「強み×脅威」「弱み×脅威」のように、内部環境と外部環境をかけ合わせて戦略を立てる「クロス分析」を実施することもおすすめです。

 
ビギニャー

へぇ〜。いろいろなフレームワークがUSPの作成に役立つんですね。さっそく、うちの会社のUSPを考えるために情報を整理してみようかな。


 
シニヤン

おっ、ぜひお願いしたいな。いい案が出たら教えてね。


 
ビギニャー

まっかせてください!ところで先輩、作ったUSPって何に使うんですか?

作成したUSPをマーケティングで活用する方法

自社ならではのUSPを作成したあとは、さまざまなシーンで活用していきましょう。

具体的な活用シーンとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 広告に利用する
  • キャッチコピーとして利用する
  • ブランドの基本方針にする

それぞれの活用例をみていきましょう。

広告に利用する

作成したUSPは、あらゆる広告で活用できます。マス広告やWeb広告、LP広告のファーストビュー、SNSのクリエイティブなどに盛り込んでみましょう。

商品の強みやベネフィットを端的に言い表したUSPは、短い時間・少ない情報量で強く訴求することに長けています。何度も繰り返し広告に利用し、消費者の潜在意識に自社の存在を刷り込むことが大切です。

キャッチコピーとして利用する

USPは、企業パンフレットやDMなどに掲載するキャッチコピーとしても活用できます。

キャッチコピーとは、商品の魅力を伝えたり顧客の注意を引いたりするための文言です。明確なベネフィットを伝えるUSPと区別されることもありますが、USPをキャッチコピーとして利用することも可能です。

キャッチコピーは集客のみならず、さまざまなステークホルダーとコミュニケーションを取るための広報活動にも活かせます。売上向上だけではなく、企業のブランディングや認知度向上に役立てられるでしょう。

ブランドの基本方針にする

USPをブランドの軸にして、商品やサービスを開発・提供するときの指針にするという活用方法もあります。

例えば、ニトリの「お、ねだん以上。」というUSPは、商品開発の際に「価格以上に高品質な商品を提供する」という指針を示してくれます。常にUSPを意識してビジネスを展開していけば、一貫性のある商品・サービスが提供できるようになるでしょう。

 
ビギニャー

なるほど〜。USPって、売上向上のためだけに使うわけではないんですね。


 
シニヤン

そうそう。いろんなシーンで役立つから、積極的に取り入れていこうね。ビギニャー君のUSP作りが捗るように、作成時の注意点についても教えておくね。

USPを作るときの注意点

USPを作るときは、次の注意点を意識しましょう。

  •  サービス紹介やメリットと混同しない
  •  他社批判をしない
  •  当たり前のことに言及しない
  •  一貫性を持たせる
  •  ストーリー性を持たせる

どのようなことなのか、詳細を説明します。

サービス紹介やメリットと混同しない

USPを作るときのよくある失敗として、サービス紹介やメリットと混同してしまうことが挙げられます。

例えば「業界で一番軽いパソコン」という文言では、単なる商品紹介になってしまいます。商材の特徴やメリットを説明しているだけで、顧客に価値やベネフィットを提示できる内容にはなっていません。

USPでは、サービス紹介やメリットの一歩先にあるベネフィットの提案が重要になります。「手ぶら気分で持ち歩ける」「外回りでも疲れ知らず」など、具体的なベネフィットが想像できるUSPを考えてみましょう。

他社批判をしない

USPを作るときは、自社が他社より秀でている点や差別化できている点をアピールする必要があります。このとき、自社の優位性をアピールするために他社批判をしてはいけません。

例えば、「添加物を使用していない安全なクッキー」とUSPで伝えてしまうと、添加物を使った他社のクッキーが安全でない印象になってしまいますよね。

他社批判は競合他社に迷惑をかけるだけではなく、他社商品の愛用者や一般消費者から反感を買う原因になります。他社に言及することは避け、自社の強みで勝負することを意識しましょう。

当たり前のことに言及しない

意外にやってしまいがちなのが、当たり前のことに言及するUSPです。

例えば、顧客情報を管理するツールで「セキュリティの高さ」をアピールしても、強力なUSPにはなりません。もちろん、セキュリティ対策は商材選びにおいて重要な判断基準になりますが、購入を決意させる決定的な要素になることは少ないでしょう。

どの企業も取り組んでいること、当たり前の水準の機能をUSPに盛り込むことは避けてください。

一貫性を持たせる

USPを作るときは、一貫性を意識してください。ブランド、商品コンセプト、ターゲットなどのさまざまな要素を加味したうえで、同じメッセージを伝えていくことが大切です。

「広告によって言っていることが違う」「高級志向のブランドなのに価格の安さを訴求している」など、媒体や商材によって訴求ポイントが異なると、顧客を混乱させてしまいます。顧客の獲得やブランディングには、一貫性が欠かせないことを理解しておきましょう。

ストーリー性を持たせる

USPを作るときは、開発秘話やバックグラウンドを付加してストーリー性を持たせると、より多くの顧客から共感を得られる可能性があります。

例えば、スポーツシューズを販売する企業を例に考えてみましょう。

  • 老舗シューズメーカーが作った運動靴
  • 怪我で一度は競技を諦めた選手が開発して競技復帰を果たした、足に負担をかけない運動靴

上記2つの商品を比較したとき、後者に強く心惹かれる方は多いかもしれません。もちろん、老舗シューズメーカーの叡智を集結した運動靴は魅力的ですが、ストーリー性がある商品のほうが共感やファンを獲得しやすくなります。

嘘をつくのはよくないですが、商品開発に込めた想いやユニークなストーリーがある場合は、USPと一緒に発信していくとよいでしょう。

 
ビギニャー

先輩、いろいろと教えてくださってありがとうございました!学んだことをもとにUSPをいくつか考えてみたので、見てくださいっ!


 
シニヤン

おお〜、ありがとう!……魅力的なUSPばかりですっごくいいよ!この案、さっそく会議で提案してみるね。


 
ビギニャー

お役に立ててうれしいです!ドキドキしますけど、結果の報告を楽しみにしていますね。!

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