

トータルエクスペリエンス(TX)とは、「UX・CX・EX・MX」の4つをリンクさせて総合的に取り組み、お客さまや従業員、企業全員に良質な体験を生み出す戦略です。
近年IT業界でトレンドになっているTXですが、まだまだ意味や重要性は浸透していません。この記事では、TXの効果や効果的な取り組みの例についてわかりやすく解説します!
先輩、最近IT業界で「トータルエクスペリエンス」って言葉をよく聞くんですけど、どんな意味なんですか?
おっ、ちゃんとトレンドを勉強していてえらいね。トータルエクスペリエンスは、最近話題になっている戦略なんだよね~。
トータルエクスペリエンス(TX)とは?

トータルエクスペリエンス(TX)とは、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」「カスタマーエクスペリエンス(CX)」「エンプロイーエクスペリエンス(EX)」「マルチエクスペリエンス(MX)」の4つをリンクさせ、総合的な体験を向上させるビジネス戦略です。
2020年にガードナー社によって発表されたテクノロジートレンドのひとつで、2021年・2022年も引き続き高い注目を集めています。
トータルエクスペリエンスでは、お客さまが得られる体験はもちろんのこと、従業員の体験や現実世界では難しい最先端の技術を活用した体験の満足度を高めることを目指しています。関係者全員の利益を追求している点が、トータルエクスペリエンスの大きな特徴です。
へぇ~、お客さまだけではなく従業員の体験も高めるんですね!働く人材を大切にする、今っぽい取り組みです……!
そうだね。トータルエクスペリエンスは、まさに現代の社会で利益を上げるために重要な施策なんだ。
トータルエクスペリエンス(TX)が重要視される理由

近年トータルエクスペリエンスが重要視されるようになったことには、昨今の情勢が大きく関係しています。企業や従業員、お客さまは直接コミュニケーションを取ることが難しくなり、物理的な距離を取る必要が出てきました。
今までのように対面で仕事をしたり、お客さまに提案したりできなくなったため、「企業と従業員」「企業とお客さま」の関係性を維持することが難しくなりつつあります。
実際、ガートナージャパン株式会社が行った2021年の調査によれば、53%もの企業が「5年前と比べて他社との競争が厳しくなっている」と回答していることがわかっています。※
このような状況のなかでお客さまを獲得するためには、従業員の士気を高めて、より高品質なサービスや革新的な商品を提供することが大切です。
逆を言うと、従業員やお客さま全員が満足できる体験を提供できる企業は、市場で大きな優位性を確立しやすくなります。今の情勢で企業が利益を上げるためには、関係者全体が満足感・利益を得られる仕組みづくりが大切なのです。
※ガートナージャパン株式会社|プレスリリース
https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20211019
たしかに、従業員の満足度とかやる気って、企業の業績と関連が深そうです!みんなが幸せになれる取り組みって、なんだか素敵ですね~!
とってもいい考え方だよねぇ。トータルエクスペリエンスに取り組むと、ほかにも企業にとって嬉しいメリットがたくさんあるんだ。
トータルエクスペリエンス(TX)に取り組む効果

トータルエクスペリエンスに取り組むと、以下の2つのメリットを得られます。
商品・サービスの品質向上
今までも、UXやCXを単体で取り組む企業はたくさんありました。しかし、従来行われていた1つの要素に特化する取り組みには、ほかの要素が疎かになってしまうという問題点がありました。
たとえば、顧客体験(CX)を向上させる取り組みをすれば、お客さまの満足度は高められます。しかし、そのぶん従業員の負担は増えることになり、ストレスや疲れを感じた従業員の満足度(EX)は低下するでしょう。その結果、従業員が十分にパフォーマンスを発揮できなくなり、CXが前よりも落ちてしまう可能性があるのです。
トータルエクスペリエンスでは、関係者すべてが利益を得られるように多方面から取り組むので、どこかにしわ寄せがいくことを防げます。結果的に、常に高品質なサービスや商品が提供できるようになり、他社との差別化を図れるのです。
企業全体の成長につながる
トータルエクスペリエンスは従業員のモチベーションアップにつながるため、社内の協力や連携の強化に効果的です。開発やマーケティング、カスタマーサービスなどが一体となれば、今までは独立していたデータやアイデアの連携が可能に!
新しい施策やアイデアが生まれやすくなり、より企業の利益につながる革新的な取り組みが目指せます。トータルエクスペリエンスは、長期的な企業成長に欠かせない考え方なのです。
ところで、トータルエクスペリエンスを構成する4つの「体験」が、それぞれどんな意味かわかるかな?
え、えっと……。なんだか似たような用語が多くて混乱してます……!
それじゃあ、最後にトータルエクスペリエンスを構成する要素と、効果的な取り組みの例について説明しておくね!
【TXの要素と取組例】ユーザーエクスペリエンス(UX)とは

ユーザーエクスペリエンス(UX:User Experience)とは、お客さまが商品やサービスの利用を通して得られる体験のことです。「ECサイトの使いやすさ」や「商品の使いやすさ」、「店舗の過ごしやすさ」などがUXの一例として挙げられます。
最近はモノ・サービスの品質・価格差がなくなる「コモディティ化」が進んでいるため、モノだけではなく体験を重要視するお客さまが増えつつあります。企業は他社と差別化を図るために、UXを高めるの取り組みをする必要があるのです。
良質なUXを提供するためには、ユーザー目線で商品やサービスを作ることが重要です。適切なペルソナの設定や市場分析などを行うと、お客さまのニーズを整理しやすくなるでしょう。
【TXの要素と取組例】カスタマーエクスペリエンス(CX)とは

カスタマーエクスペリエンス(CX:Customer Experience)とは、商品やサービスを利用したときの顧客体験です。購入前の接客から商品問い合せ、使用感、購入後のアフターサービスなどといったすべての体験が評価対象となります。
「購買行動におけるUXを積み重ねたものがCXになる」と考えておくとわかりやすいでしょう。たとえば、どれほど美味しい焼肉屋さんでも、「お店が汚い」「接客対応が悪い」「注文方法がわかりにくい」などといった顧客体験に1つでも欠点があれば、総合的な評価は下がるでしょう。
CXを向上させるためには、お客さまが体験するすべてのプロセスでプラスの感情を抱いてもらえるよう、ユーザー目線に立った施策の実践が大切なのですCXの向上には、顧客心理や行動の把握が欠かせません。
CRMによる顧客データの収集・分析やカスタマージャーニーの活用などを通して、お客さまとの接点や感情・行動、課題などを細かく分析すると、CX向上に必要な改善点が見つけやすくなります。
【TXの要素と取組例】エンプロイーエクスペリエンス(EX)とは

エンプロイーエクスペリエンス(EX:Employee Experience)とは、労働環境や待遇、キャリア形成など、従業員が体験する仕事に関するあらゆる事柄です。
従業員が抱く企業への感情や満足度は、業績に大きく影響します。不満を抱えている従業員が多ければ、職場の雰囲気が悪くなってパフォーマンスは下がります。
反対に従業員の満足度が高ければ、みんながイキイキと前向きに働ける環境になって業績のアップを目指せるでしょう。お客さまの体験や利益だけではなく従業員も大切にすることで、成長できる企業経営が実現できるのです。
EXを高めるには、従業員サーベイ(アンケート)や面談の実施などが有効です。定着率や生産性の向上効果も得られるため、結果的にCXを大きく向上させることにも役立ちます。
【TXの要素と取組例】マルチエクスペリエンス(MX)とは

マルチエクスペリエンス(MX:Multi-Experience)とは、さまざまなデバイスやテクノロジーを通して、現実世界では経験できないような体験をすることです。
これだけ聞くと少しイメージしにくいかもしれませんが、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を活用した体験、あらゆるデバイスをインターネットに繋いで操作するIoTなどがMXに含まれます。
たとえば、スマートフォンのカメラを通して自宅に家具を配置するシミュレーションをしたり、画面上で洋服を試着する「バーチャルフィッティング」などがMXの代表的な例です。まだまだ取り組んでいる企業は少ないですが、5Gの普及によりMXもほかの要素と同じくらい重要になっていくでしょう。

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