

「自社だけの強みって何だろう?」「競合と差別化して顧客を獲得するためにはどうしたらいい!?」こんなときに役立つのが、ポジショニングマップです!この記事では、ビジネス戦略やマーケティング施策を考えるときに欠かせない、ポジショニングマップの重要性や作り方をご紹介します。
ビギニャー君、浮かない顔してどうしたんだい?
シニヤン先輩!実は、この商品の広告案を考えたんですけど、部長から「これじゃ競合他社の商品に勝てないから独自性がほしい」って言われて……。なので、独自性が何かを一生懸命考えているんです!
お、頑張ってるね!独自性のある施策を考えて他社と差別化することって、マーケティング戦略を考えるときの大きな課題だよね。でも、わかっていても実際に考えるのは難しいよねぇ。
マーケティング戦略を考えるときの課題

マーケティング戦略を考えるときは、やみくもに商品やサービスの強みをアピールすればいいというわけではありません。
なぜなら市場にはたくさんの商品があり、単に「安い!」「おしゃれ!」「使いやすい!」などとアピールするだけでは、他社の商品に埋もれてしまうためです。
しっかりとお客さまの心をつかむマーケティング戦略を立てて製品を売り込むためには、「顧客のニーズ」「競争優位性」「自社の強み」の3点を踏まえて、自社ならではの立ち位置(ポジショニング)を見つけることが大切です。
他社にはない強みをアピールすることで、自社の売りや特徴を知ってもらい、多くの商品の中から選んでもらうことができるようになります。
この自社ならではのポジショニングを見つけることこそが、マーケティング戦略を考えるときの大きな課題になるのです。
なるほどぉ!この商品にしかない強みが独自性になってくれるんですね!でも、何が「この商品ならでは」の特徴なんだろう……。
自社の強みや商品の特徴を見つけて差別化したいときは、ポジショニングマップを活用するといいよ。自社や競合の情報を整理することで、戦略を考える手助けをしてくれるフレームワークなんだ。
ポ……ポジショニングマップ……?なんですか、それ!くわしく教えてください!
ポジショニングマップとは?

ポジショニングマップとは、ターゲットとする市場における自社商品の立ち位置(ポジション)を可視化し、競合との差別化を図るときに役立つ図表です。
異なった2つの軸を設定した表の上に自社と競合の製品を配置することで、それぞれが市場でどのようなポジションにいるのかを視覚的に把握する手助けをしてくれます。
各企業のポジションを把握することで、自社ならではの優位性(強み)を見つけて差別化するための施策を考えやすくなるのです。
ポジショニングマップは、既存の商品やサービスの差別化や優位性の確立をしたいときに活用できるものですが、新商品の開発やサービスの立ち上げのときにも大活躍してくれます。
たしかに図表にまとめるとわかりやすそうですね……!でも、どうしていちいちマップを作る必要があるんですか?
ポジショニングマップを作成することには、実はたくさんのメリットがあるんだよ。次は、具体的なメリットについて説明するね!
作成するメリット

ポジショニングマップを作成して情報を整理すると、3つのメリットが得られます。
①他社との差別化で競合を避けられる
多くの商品があふれる現代、自社の商品をお客さまに選んでもらうためには、他社と差別化して顧客の心を掴むことが大切です。
ポジショニングマップを活用すれば、競合と重複している強みや自社にしかない強み、どの企業もカバーできていないニーズを明確化できます。
それを分析したり反映したりして他社には替えられない付加価値を見出すことで、他社との競合を避けられる唯一無二の存在、もしくは競争優位性を持った存在となることができるのです。
たとえば、「安くて高機能なパソコン」だけでは他の製品に埋もれてしまいますが、「1秒で立ち上がるパソコン」「豪雨の中でも使える防水パソコン」といった自社ならではの強みがあれば、お客さまの心を掴んで手にとってもらえるようになりますよね。
こういった自社の売りや特徴で他社と差別化できれば、結果的に自社のブランディングにつながり、市場での競争を有利に進められるようになります。
②顧客のニーズを整理できる
ポジショニングマップを作成することには、顧客のニーズを整理する効果もあります。
実際にポジショニングマップを作ってみて自社が独自のポジショニングに成功しているとわかっても、その領域にお客さまのニーズがなければ、施策はうまく行かない可能性があります。
たとえば、ターゲットが「初めてパソコンを購入する50代以上の主婦」の場合、自社製品の価格がほかの製品よりも高くて機能が飛び抜けているものだとしたら、ほかの製品が選ばれてしまうかもしれません。
なぜなら、パソコンに慣れていない年代の方が初めてパソコンを購入する場合、「手の届きやすい価格帯の製品」や「気軽に使えるシンプルな製品」にニーズが集中すると考えられるためです。
このように、ポジショニングマップを作成すれば自社製品とお客さまのニーズがマッチしているかどうかを見極められます。
よりお客さまに満足していただける製品の開発や戦略のためにも、ポジショニングマップは欠かせないのです。
③プロモーション戦略を明確にできる
マーケティングやプロモーションの施策を考案する際は「STP分析」が必要になりますが、この分析にポジションマップの考え方は欠かせません。
STP分析とは、以下の3つの分析を行うフレームワークのことです。
STP分析の要素
- セグメンテーション:年齢や性別、ライフスタイルなどで市場を細分化・顧客をグループ分けする
- ターゲティング:細分化した市場のなかで、どこをターゲットとして狙うべきなのかを明確にする
- ポジショニング:自社の立ち位置を明確化し、優位なポジションを見極める
STP分析の3つのステップを踏むことで、はじめて訴求すべきターゲットや市場、優位性や有効な施策が見えてくるのです。
STP分析とポジショニングマップを参考にして「自社製品の差別化」「競合の回避」「顧客ニーズの整理」ができれば、アピールすべきターゲットやポイントが明確化され、効果的なプロモーション戦略を設定できるようになります。
ちなみに、関連するフレームワークとしてPPM分析というものがあります。
PPM分析とは、自社が持つ複数の事業や製品がどのような位置にあるのかを分析して、
今後の戦略や予算の配分を考えるための分析手法です。
ユニークな分類をする手法で、事業や製品を「問題児」「負け犬」「花形」「金のなる木」に分けていきます。
他社との差別化や自社が競争で生き残るための施策を考えるときのヒントになってくれるので、余裕がある企業はぜひポジショニングマップと一緒に活用してみてくださいね!

「セグメント」とは、集団やまとまりを指標にもとづいて区切ったもののことです。 マーケティングにおいては、ユーザーの年齢や性別、職業や地域などによって集団を区分し.....
ポジショニングマップを作ると、こんなにたくさんのメリットがあるんですね~!これなら、部長に言われた独自性を見つけて他社と差別化できそうです!
おっ。それはよかった!それじゃあ、はじめてポジショニングマップを作るビギニャー君でもできるように、くわしい作り方を教えるね。
ポジションマップの作り方

ポジショニングマップを作るときは、とにかく自社と他社の製品をしっかりと分析することが肝心です。
ここでは、ポジショニングマップの具体的な作り方についてご紹介します。
①競合と自社の製品を整理する
まずは事前準備として、競合と自社の製品を整理しておきましょう。
・どのような製品があるのか
・どのような特徴があるのか
・価格帯やターゲット層はどうなのか
・具体的にどのような強みや弱みがあるのか
こういった情報をまとめておくと、この先のマッピングがスムーズになります。
②競合と自社のKBFを比較する
次に、競合と自社のKBF(購買決定要因)を比較していきましょう。
KBFとは、ターゲットとするお客さまが商品を購入するときに重要視するポイントです。
一例としては「価格」や「機能性」、「ブランド」などが挙げられます。
たとえばビジネス用のノートパソコンの場合、持ち運びやすさや動作の軽さ、バッテリーの持ちなどがKBFとして考えられるでしょう。
企業が主観でKBFを分析するのではなく、アンケートや市場調査などを活用してお客さまの意見を集めておくと、正しい分析を行いやすくなります。
③ポジションマップの軸を決める
自社と他社のKFBを洗い出せたら、ポジショニングマップで分析する軸を決めていきましょう。
ポジショニングマップの軸は、お客さまがとくに重要視するKBFをもとに設定することが大切です。
たとえばビジネス用のノートパソコンの場合、「機能性:多機能⇔シンプル」「持ち運びやすさ:軽い⇔重い」などが軸として設定できます。
なお、製品や自社が持つ強みによって最適な軸は異なります。
軸の決め方がわからないというときは、以下の視点を参考に軸を選んでみてください。
ポジショニングマップの軸を選ぶ視点
- 価格や仕様、機能
- ニーズやベネフィット
- 利用シーンや目的、用途
- 競合製品にはない自社ならではの強み
また、BtoBとBtoCでは軸を決める切り口を変えるとより効果的です。
それぞれに適した切り口は、以下のとおりです。
BtoBに最適な軸の切り口
- 企業属性:業種や売上規模など
- 購買行動:対象部門とする取引先との関係性など
- 行動:購買状況や解決したい問題など
BtoCに最適な軸の切り口
- 行動:購買状況や解決したい問題など
- 地理:地域、人口、都市の規模など
- 人口動態変数:性別、年齢、職業など
- 心理的変数:価値観、ライフスタイルなど
慣れてきたら以上の切り口も意識しながら、さらに踏み込んだ軸で分析してみましょう!
④ポジションマップを作成して分析する
ここまでの情報を整理できたら、いよいよポジショニングマップの作成に入っていきます。
設定した軸に合わせて自社と競合の製品を配置してみて、自社がどの立ち位置にいるのかを分析しましょう。
・他社と重複している部分はないか
・自社ならではの強みはどこか
・空白の領域はどこなのか
以上の内容を正確に把握できれば、ポジショニングマップの作成は成功だと言えます。
⑤ビジネス施策に反映する
しっかりと自社のポジションを把握できたら、その内容を施策に反映しましょう。
その際、他社にはない強みを訴求するだけではなく、空白の領域にあるニーズを満たせる施策がないかについても考えてみてください。
ここで分析した内容は既存商品のマーケティング施策に加え、新商品の開発や今後のブランディングにも反映すると効果的です。
わぁ!とってもわかりやすいです!教えてもらったステップを踏めば、僕でもポジショニングマップが作れそうです~!!
よかった。ポジショニングマップの作成事例と活用法も紹介しておくから、これを参考にして実践してみるといいよぉ~。
ポジションマップの作成事例と活用方法

今回は、20代の新卒社会人向けのビジネススーツを例にポジショニングマップを用意してみました。
この表を見ると、「動きやすさ」や「洗いやすさ」などの機能性を重視する安価なブランドが多いなか、自社はトレンドを意識しつつ高品質なスーツを売り出しているため、そこが差別化を図れる要因だとわかります。
また市場アンケートで、新卒社会人は「新入社員の野暮ったいイメージが抜けなくて困っている」「リクルートスーツからおしゃれなスーツに切り替えたいけど、どのようなデザインがいいかわからない」という意見が多く見られたとします。
この場合、「新卒社会人であってもスーツの品質やデザインにこだわることで、垢抜けられてビジネスの印象をアップできる」「一人ひとりの骨格やイメージに合ったコーディネートを専属のスタッフが提案してくれる」という内容で訴求していけば、競合と差別化が図れるでしょう。
また、価格を重視しつつトレンドを押さえた領域が空白になっているため、
ここにもビジネスチャンスが見つけられます。
姉妹ブランドとして、手の届きやすい価格でトレンドを取り入れたブランドを立ち上げれば、より多くの集客が望めるでしょう。
このように、ポジショニングマップを作成して市場の状況を正しく把握できれば、これから実施するべきマーケティング施策や新しい戦略を見極められるようになるのです。
さっそく、部長から依頼されている商品のポジショニングマップを作成して、戦略案と広告案を作ってみます~!シニヤン先輩、ありがとうございます!!
頑張ってね。最後にポジショニングマップの作成を成功させるポイントについて伝えておくから、意識しながら作ってみるといいよ。
ポジションマップの作成を成功させるポイント

ポジショニングマップの作成を成功させるポイントとして、以下の2つを意識してみましょう!
①ターゲットの意思決定に直結するKBFを見極める
ポジショニングマップの軸を決定するときは、必ずペルソナの意思決定に直結するKBFを見極めましょう。
お客さまが商品の購入を決定するときのKBFには、価格や品質、機能性、デザインなどさまざまなものがありますが、ターゲットごとに重要視するKBFは大きく異なります。
たとえば、女性のお客さまがノートパソコンを購入する場合は「デザインのオシャレさ」を重要視するかもしれませんが、男性のお客さまは「オシャレさよりも機能性」を重要視する傾向にあるかもしれません。
そのため、ターゲットごとに決め手となるKBFを見極める必要があるのです。
KBFが複数ある場合は、いくつもポジショニングマップを作ってみてもいいでしょう。
まずはターゲットのニーズとKBFをしっかりと分析することが、ポジショニングマップ成功のカギです。
②縦軸と横軸は相関性の低い項目に設定する
ポジショニングマップを作成するときは、相関性の高い項目を軸にしないように気をつけましょう。
軸を相関性が高い項目にしてしまうと、実際には1つの軸でしか比較していないことになってしまうためです。
たとえば「品質」と「価格」が相関性の高い項目の例として挙げられます。
この軸をもとに分析しても、「低品質な商品は安価な傾向にあり、高品質な商品は高価な傾向にある」という当たり前の情報しか手に入れられません。
なぜなら、品質は価格と比例するケースが多いためです。
したがって、ポジショニングマップの軸を決めるときは、「価格とデザイン性」「機能性とブランド」「味と利用シーン」などといった、相関性の低い項目を軸に設定することが大切なのです。

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